はるかかなた クリア後の感想 その2

ネタバレを含む内容があるため、ご注意ください。
この内容はver2.00以前のパッチ適用状態でプレイして書いたものです。
最新版のパッチ適用状態とは異なる可能性があります。



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「SORAHANE - ソラハネ -」公式サイト(R-18のため注意)
「トラウムブルグ7番地」公式サイト
 (SORAHANEの前身(?)の同人サークル こちらは全年齢OKです)
「Bye」紹介ページ
 (とらななの作品 フリーなのでぜひお試しを)



以下、本文。ネタバレ注意



[シナリオ]

- はるかルート -

SORAHANE版「Bye ∫シナリオ」といった印象で、終盤でByeと似ているシーンが見受けられる。
ヒロインが死んでしまうことはどちらも同じだが、残された人たちの心は真逆を向いていると思える結末を迎えている。

これまでの作品ではメインヒロインのシナリオの続きとしてグランドエンドルートがあったが、今作ではこのルートの途中から分岐したもうひとつの未来という位置付けになっている。

単独で見ると、最後に喪失感だけが残る、そんな印象のシナリオだがグランドエンドに対するBadEndと考えると悪くない終わり方だと思う。


- 結衣ルート -

主人公を取り巻く大人たちのことが明らかになる。
これまでの作品にはなかったタイプの衝撃のラスト。
おどおどした子だったのにあのエピローグ、結衣ちゃんって、こんなにも強い娘だったんだ。

クライマックスからバッドエンドな感じでスタッフロールに突入、エピローグでハッピーエンド(?)な終わり方。
ハッピーエンド(?)なところがSORAHANEらしいと思う。

スタッフロールで表示されるCGでエピローグのネタバレ有り。
他のルートでも同じだが、スタッフロールの後のエピローグで表示されるCGをスタッフロールで表示するのはやめて欲しい。
ただ、ここだけは直前のシーンがシーンだけに、正直、ほっとした。けど、せっかくのシナリオ構成なんだから、エピローグでほっとさせて欲しい。


- 心音ルート -

身体の障害を気付かれないように振る舞い、失われた記憶を求めている心の内は他のルートで見る明るい言動からは想像すらできなかった。
心音ルートに入ってからそれを匂わす記述があったが個人的には共通ルートや他のルートでも仄めかしている構成になっている方が好き。

あと、心音のSDイラストがすごくかわいいと思うのですよ。

このルートだけ、エピローグの尺が段違い。
最後の最後にでてくるサプライズのサプライズっぷりは、さすが心音さん。
エピローグは本編から数年後なんだから、グラフィック的にもうちょっと成長させてあげていても良いと思うんだ。


- 雫ルート -

相手が幸福であることが自分の幸福だと言う雫。
勉強も運動もできる、気遣いもできる、みんなのお姉さん役な所もあり、良い人のように思えるが、実は他者に依存することで成り立つ幸福。
他のルートでは大切な人を失った悲しみを隠しながら悩むかなたの背中を押してくれるとても強い人という印象だったが、このルートのシナリオから、実は一番弱い人だったのではないかと感じた。

始めからこうなることが予期できるキャラクター設定であり、主人公を含め他のヒロイン全員が親との悲惨な死別を経験している描写もあるためか、渚さんの死によるプレイヤーへの衝撃が弱くなっているように思う。
それでも、アテナとのダブルパンチは結構堪えた。


- グランドエンドルート -

Byeではたどり着けなかった結末。
はるかエンドがあったので、Byeに近い結末を予想していたが良い方向に裏切られた。
はるかもかなたも、完全ではなくどこか不具合が残ってしまったが、それでも皆で生きている、という辺りがSORAHANEらしいと思う。

これまでとグランドエンドルートへの入り口が異なっており、入り口探しが必要だった。
せめて、前作のようにルート開放のメッセージかあるいはヒントのようなものがあると親切。

個別ルートのスタッフロールは黒い背景なのだが、グランドエンドのスタッフロールは青空の背景になる。
グランドエンドのスタッフロール最後のブランドロゴが表示されるところの演出が好き。

ただし、渚さんやUMAさんに触れられていない点がすっきりしない。
UMAさんははるかが入院している病院の院長だと読み取れる記述があったように思うのだが、他のルートでは全く登場しない。
雫さんについても、ルートによって仄めかされていたり、全く触れられていなかったりする。

せめて、グランドエンドではこの二人についても何らかの結末を用意して欲しかった。



[まとめ]

Byeでたどり着けなかった結末を見ることができた点については良かったと思う。
ただし、1作目AQUAのグランドエンドで全てのルートがきれいにまとめられていた印象が強く、どうしてもそこと比べてしまう。

システム関連の不具合や誤字の多さ、シナリオプレイヤーが未実装であることなど悪い点ばかりが目立っているが、演出面ではこれまでの作品以上に表現の幅が増えるなど向上している部分もある。
「さくら、咲きました。」で気になった回想シーンの長さも、今回はちょうど良い長さだったと思う。

ビジュアルファンブックのインタビューで「新しい形のビジュアルノベルを作っていきたい」といったコメントが記載されており、今回のエンジン変更もそういった変化を目指してのものだったと思われる。
これまでにない新しい形のものを作ろうとする姿勢は支持したいし、仮にその変化が結果として支持されなかったとしても新しい形を作ろうと挑戦すること自体は評価されるべきだと思う。
もちろん、製品として成立していることが大前提。
今後のバージョンアップで修正されることを願いたい。

設定について気になったのは、はるかとかなたが双子であることを複線としたグランドエンドの問題解決の方法である。
劇中ではるかとかなたが「一卵性双生児の特徴を持っている」ことをプレイヤーに印象付けようとするシーンがあり、二人が一卵性双生児であることによってグランドエンドで大きな問題を乗り越えている。
しかし、一卵性双生児は必ず同性になるというのが一般的な認識であるはず。
wikiなどによると異性の一卵性双生児も存在し得るとのことだが、遺伝子的な差異は大きいらしい。
強引に言うなら、ここらへんが今作におけるSF要素。
正直、この設定について納得できる説明をして欲しかった。

あと、過去作も含め毎回気になっていることだが、スタッフロールでのネタバレはやめて欲しい。
キャスト紹介でそのシナリオ未登場キャラが表示されたり、スタッフロール後に初登場するCGがスタッフロールの中で表示されたり、公式ネタバレになってしまっている。

現時点では未実装の機能もあり、今後もパッチの更新は続いてゆくと思われる。
また、これまでの作品で提供されてきた追加シナリオについても、今回はどうなるのかが気になる。
システムの不具合さえなければ、という点が非常に残念。







ずっと、SORAHANE版Byeを期待する気持ちが少なからずあった。
が、今作であれだけByeを意識した演出があったのだし、ネタかぶりは避けるだろうなと考えると、その可能性はほどんどなくなってしまったと思う。
個人的には、ちょっとだけ、残念。

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